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財産に対する損害賠償の消滅時効はどれぐらいなのか?


不法行為や債務不履行などによって財産における損害を被った場合は当然、損害賠償を請求する権利を得ますが、いつまでも保有し続けられるというわけではありません。

民法には「消滅時効」があり、一定の期間その権利を行使しないと、権利が消滅して請求することができなくなります。

そもそも消滅時効ってなに?

不法行為による損害賠償の請求権は以下のいずれかに達すると、時効によって消滅します。

  • 損害及び加害者を知った時から3年間行使しない
  • 不法行為から20年間行使しない
ただし、生命・身体の侵害における損害賠償請求権は、生命身体の保護という重要な権利であることから、財産権等の侵害による損害賠償請求権とは取扱いが異なっており、損害及び加害者を知った時から「5年間行使しない」時に時効によって消滅するとされています。
民法第724条

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一.被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二.不法行為の時から二十年間行使しないとき。

参考サイト:民法第724条-Wikibooks

条文の「損害を知った時」とは判例によって、損害の発生を現実に認識した時とされており、損害額まで把握している必要はありません。

なお、損害賠償債務の遅延損害金についても、不法行為に関する損害賠償請求権同様、民法第724条が適用されます。

日々発生する損害の時効の消滅期限は?

不法占拠など、日々発生する継続的不法行為については、不法行為が終わった時点から各損害の消滅時効が進行するのではなく、日々発生する損害を知った時から各損害別に消滅時効が進行していきます。

従って、消滅時効の期限は損害ごとに異なります。

加害者が海外に転任した場合は時効の進行が停止

テレビの刑事ドラマで、よく出てくる刑事のセリフに『海外に逃げていたから、時効が中断している』というものがあります。

刑事訴訟法では、犯人が国外にいる期間は公訴時効の進行が停止します。

刑事訴訟法255条1項

犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。

参考サイト:刑事訴訟法第255条-Wikibooks

しかし、民法にはそのような規定はありません。従って、債務者が海外に在住していることを理由に、民法上の消滅時効が停止することはありません。

不法行為債務の履行期限はいつまでなのか?

不法行為による損害賠償債務は、被害者からの「催告」がなくても、損害発生と同時に当然に履行遅滞となります。

従って、被害者は損害賠償金と遅延損害金を同時に請求できます。

実は、旧民法の724条では『不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。』とされていました。

改正民法と何ら変わらないように見えますが、旧民法では20年を経過した時の時効が明記されておらず、判例では「除斥期間」とされていたため、期間の経過により当然に権利が消滅することになります。

一方、改正民法では「時効期間」であることが明確にされたことで、不法行為を受けた被害者の救済の確実性が高くなりました。

時効の場合は「中断」や「停止」といった時効の進行を阻止する手段があるのに対し、除斥期間の場合は原則として時間の経過により当然に権利が消滅します。

つまり、被害者が損害賠償を請求しようが、裁判所に訴えようが、20年が経つと請求権が消滅します。

しかし、時効期間であれば、請求を行うなどして時効の進行を中断させることで、権利行使の機会をより確保できることになります。

ちなみにお金借りる場合の時効でよく取り上げられるのが、過払い金の消滅時効になります。

過払い金の消滅時効は、最終の取引から10年間です。

そのため、最後の取引から10年経過した場合、過払い金を取り返すのは難しいでしょう。

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